我が家の子供達は小さい頃からずっと海外暮らしで現地校やインターナショナルスクールに通っています。
上の子は日本で言えば小学5年生相当になりますが、まだハッキリしない本帰国の予定とその後の日本での学校生活に不安のないように、Z会の小学生向けのコースを海外で受講しています。
Z会の通信教育はすごくよく練られた良質の教材で、塾なしの家庭学習ですが子供一人でも毎日楽しく取り組めて助かりますが、海外での受講では不満もないわけでもありません。
今回は、そんなZ会の小学生向けのコースを海外受講している感想や使い勝手、知らずに始めると後で困ることなどをシェアいたします。
海外受講できるZ会の小学生向け通信教育とコース選択のコツ
Z会の小学生向けの通信教育には、
- 小学生コース
- 小学生タブレットコース
- 中学受験コース
の3つのコースがあります。
それぞれのコースの目的の違いは、小学生コースと小学生タブレットコース(以下、タブレットコース)は日本の教科書の内容や進度を参考につくられており、帰国後の学習面の不安を払拭したいご家庭や公立中高一貫校の受験を考えている家庭向けのコースとなります。それに対し、中学受験コースはその名の通り、帰国後に国私立の中学受験を考えている家庭向けのコースとなります。
対象学年は、小学生コースが1〜6年生、タブレットコースが1年生と3〜6年生、中学受験コースは3〜6年生になります。(2019年度までタブレットコースは3年生以上が対象でしたが、2020年の4月からは小1の講座が開講します。また、タブレットコース2年生は2021年度開講予定のようです。)
3つのコースはすべて海外での受講が可能ですが、小学生コースはすべて紙ベースの教材で勉強するのに対し、タブレットコースと中学受験コースはタブレット(iPad)を使って勉強する、という違いがあります。
すべてのコースにZ会のウリでもある課題提出と丁寧な添削指導が含まれてはいますが、教材が紙ベースだと海外と日本との間の郵送によるやり取りで日数と国際郵便代金の面でロスが大きくなります。
なので、海外受講するなら小学生コースではなくiPadやネットでのやりとりが可能なタブレットコースか中学受験コースの方が利便性が高くおすすめです。
また、iPadの動画解説で理解が深められたり、自動丸つけ機能ですぐに問題演習の結果がわかるなど、慣れれば子供一人でも十分に学習できるようになります。我が家のように日本人学校ではなくインターや現地校に通う子供なら、なじみの薄い日本の勉強も、iPadを使えば効率的で効果的に学習できるので尚更よいです。
コース選択の理由と海外受講している感想
我が家では上の子が小学校3年生の4月からZ会中学受験コースの海外受講を始めました。
中学受験するかどうかは当時未定でしたが、タブレットコースと中学受験コースのどちらかがよいのか迷い、最終的に中学受験コースを選択しました。
中学受験コースを選択した理由としては、我が家の場合は日本人学校ではなくインターナショナルスクールに通っており、特に算数についてインターは日本のカリキュラムより進度が速いと感じていました。また、その一方でインターの算数の内容は緩いとも思っていました。そこで、小学3・4年生の段階で教科書の範囲を終了させ、5・6年生で応用・発展演習をする中学受験コースのカリキュラムと強度がよさそうだと思い、中学受験コースに決めました。
現在日本の小学5年生相当ですが、中学受験コースでは特に算数の学習のペースがインターのカリキュラムと相互に過不足を補い合う感じでいい感じの組み合わせです。また、学年が上がるにつれて増える学習用語も英語と日本語の両方学べるので、ダブルリミテッドの問題も生じずにバランスよく勉強できています。
Z会の教材は一見演習量が少ないようにも感じましたが、良問演習を繰り返しているうちに学力が向上していました。また、プロによる丁寧な課題添削ではアドバイスをもらえるので、同じことを親が指摘するよりも子供は受け入れることも多々ありました。
それに加え、iPadを活用することによって、
- 映像授業:参考書で独学するよりもプロ講師の説明の方が理解しやすいこと
- 演習方式:定着するまで繰り返しできること・やり直す箇所がすぐにわかること
- 課題提出と返却:郵送によるやり取りが不要
など、効率的に日々の学習を進められています。質問や相談など人によるサポートも充実しており、丁寧で的確なアドバイスももらえます。
ポイント獲得や成績ランキングなど、長続きする仕掛けもあり子供がモチベーションを維持しながら学力も向上しているので、中学受験コースを受講して本当によかったと思っています。
中学受験コースは5年生から学習量と難易度が増して大変ではありますが、社会を捨てるなど教科をしぼり、なんとかインターと両立できています。そして、中学受験をしないのであれば算数については5年生の1月まで・理科については6年生の7月までのカリキュラム学習が終わり受験演習に入る直前でやめて、その後は中学生コースや中高一貫コースに乗り換えてもよいのかなとも考えています。
また、仮に日本人学校に通っていたとしたら、日本の教科書のカリキュラムがベースのタブレットコースを選んでいたかもしれません。
いずれにしても、海外での塾なし家庭学習の教材としては、紙ベースの小学生コースよりも、iPadでロスなく効率的な学習ができるタブレットコースか中学受験コースがおすすめです。
なお、海外受講の場合、受講費用は日本国内での受講と異なります。Z会の場合、海外在住者でも詳しいパンフレットや教材見本など無料で送付してもらえるので、まずは資料請求するとよいでしょう。
Z会海外受講の使い勝手(利便性)
教材の質としては文句のないZ会の教材ですが、では海外受講における利便性はどうでしょう?
前述したように、海外と日本のやり取りや郵便事情を考慮すると小学生コースよりも、絶対にタブレットコースか中学受験コースの方が便利です。
ここでは、実際に受講している中学受験コースのことを中心に、タブレットコースについても公式サイトからわかる情報をまじえてご紹介いたします。
Z会の学習アプリの使い勝手
iPadで使う学習アプリは中学受験コース・タブレットコースともに基本的にネットに接続しながら利用します。ネット環境がよほど悪くないかぎり大丈夫だと思いますが、App Storeが対応していない国では受講できないようなのでAppleのページでご確認ください。
学習アプリには要点解説・問題演習・成績管理・スケジュールカレンダーなどのメニューがあり、練習問題やドリルの自動丸つけ機能など子供一人でも十分に操作・学習できるようになっています。はじめのうちは多少クセを感じるかもしれませんが、学習アプリの使い勝手には特に不満はありません。
操作性は以下のZ会公式サイト内のそれぞれの体験ページで試してみるとわかりやすいでしょう。
教材の受取について
中学受験コースでは学習アプリの他に紙ベース(テキストや添削課題など)の教材も使用し、紙ベースの教材は毎月国際宅急便(DHL)で送られてきます。また、iPadの学習アプリにも毎月その月の教材がネット経由で配信されます。
こちらの国では以前は国際郵便(EMS)で受けとっていましたが、DHLに変更になってからより早く確実に受け取れるようになりました。日本からの発送後だいたい3〜5日程度で配達されてます。なお、いまのところ一度も経験していませんが、教材が配達されないことがあればZ会までご連絡すれば再発送してもらえるそうです。
タブレットコースの場合、教材はすべてiPadの学習アプリに配信されるので郵送で受けとるものはありません。時期により紙の教材がある場合のみ国際宅急便で送られてくるそうです。
添削課題の提出方法
中学受験コースの添削課題は紙ベースとなります。
答案の提出方法については、3・4年生の時は答案をスキャンして ウェブ(Z会MyPage)経由で提出できます。郵送も可能ですがウェブ経由で提出できるならわざわざ郵送はしないでしょう。また、5・6年生では海外受講者にかぎり答案の画像をメール添付で提出することができます。(日本国内の受講者は郵送のみの受付ののようです)答案用紙のサイズが3・4年生はA4版で5・6年生はA3版と違いがあるため扱いがことなるのでしょうが、いずれにしても海外受講だとウェブ経由やメール添付で提出できるのでとても楽です。
なお、年に2回(3年生は1回)行われる到達度テストだけは郵送での提出となります。
タブレットコースの場合は、添削課題はiPadのアプリで取り組むのでネットにつなげてそのままアプリで提出することになります。
添削課題の返却方法
中学受験コースでは添削された答案は学習アプリとウェブ(Z会MyPage)に返却されます。ウェブの方からはPDFファイル形式でダウンロードできるので、必要ならプリントアウトもできます。(ただし、添削返却後3ヶ月以内だけダウンロード可能。学習アプリでの閲覧はいつでも可能)
なお、年に2回(3年生は1回)行われる到達度テストの答案と解説の返却は、ウェブと郵便の両方で受けとることができます。
タブレットコースでは、添削後の答案はiPadのアプリに返却されます。
以上のように、中学受験コースとタブレットコースの添削課題の提出・返却は郵送不要でアプリやネットでできるので、海外在住でもまったく支障がありません。
Z会海外受講の唯一の欠点とは?
中学受験コースとタブレットコースには、海外受講者にとって唯一の欠点があります!!!
日本時間の午前2時〜午前5時の間はZ会のサーバー(システム)のメンテナンスとなるため、その時間帯はiPadの学習アプリの利用に制限があるのです!!!しかも、毎日!!!
日本の2AM〜5AMの時間帯は、おもな国や都市を標準時差で比較すると下表のようになります。
インドネシア・タイ・ベトナム | → | 0AM 〜 3AM |
シンガポール・フィリピン・マレーシア・中国・台湾 | → | 1AM 〜 4AM |
韓国 | → | 2AM 〜 5AM |
オーストラリア(ブリスベン) | → | 3AM ~ 6AM |
オーストラリア(シドニー・メルボルン) | → | 4AM ~ 7AM |
ニュージーランド | → | 6AM ~ 9AM |
アメリカ(ハワイ) | → | 7AM ~ 10AM |
アメリカ(ロサンゼルス・サンフランシスコ)・カナダ(バンクーバー) | → | 9AM ~ 12PM |
アメリカ(シカゴ)・メキシコ | → | 11AM ~ 2PM |
アメリカ(ニューヨーク・ボストン・アトランタ・デトロイト)・カナダ(トロント) | → | 12PM ~ 3PM |
ブラジル・アルゼンチン | → | 2PM ~ 5PM |
イギリス | → | 5PM ~ 8PM |
ドイツ・フランス・イタリア・オランダ・スイス・スペイン・ベルギー | → | 6PM ~ 9PM |
インド | → | 10:30PM ~ 1:30AM |
アジアの国々なら日本と同様に深夜の時間帯なので、小学生なら寝ているでしょうからあまり影響はないでしょう。
しかし、オーストラリア・ニュージーランド・ハワイなどは朝の勉強の時間が、そしてヨーロッパの大部分の国は夕方と夜の勉強時間にそれぞれZ会のメンテナンス時間がぶつかります。
アメリカでは地域によって、メンテナンス時間が午前中から昼過ぎにかけての時間帯なので、平日なら学校で過ごしあまり影響はないかもしれませんが、週末の日中の過ごし方に制限がありそうです。
また、サマータイム(夏時間)がある国では、季節によってまた別の影響があるかもしれません。
対策がないわけでもないので後述しますが、この時間帯は何も対策しないと基本的にiPadの学習アプリを使った勉強はできないません。
特に中学受験コースの方は、対策したとしてもメンテナンス時間は映像授業を一切見ることができないので困ります。日々新しく学ぶ単元は、テキストだけ読むのではなく、映像授業を見ながら取り組んだ方が理解しやすいからです。
我が家の場合は現在ヨーロッパの国に住んでいるので、夕方から夜にかけてがメンテナンス時間となります。そのため、その時間帯は学校の宿題やアプリを使わないZ会の学習(テキストの復習や添削課題)に取り組み、アプリを使うZ会の学習は帰宅直後や朝の登校前にするようやりくりしながら勉強しています。
このメンテナンス時間の問題は、小学生コースのみならず中学コースや高校コースにも発生するようなので、学年が上がって夜の勉強時間がメインになってきたらどうしようかと頭を抱えます。
Z会の海外受講を検討するなら日本との時差に注意しましょう!
サーバメンテナンス時間帯の対処法
以前、タブレットコース及び中学受験コースの学習アプリにはお出かけモードというサーバーメンテナンス時間帯でも学習アプリを使える機能が用意されていましたが2020年の1月から3月にかけて廃止になりました。
使い勝手があまりよくなかったので我が家ではお出かけモードを使うことはありませんでしたが、お出かけモードもなくなった今となってはサーバーメンテナンス時間帯に学習アプリを使う術がまったくなくなりました。
そのため、メンテの時間帯の影響の大きい地域に住んでいる場合、Z会の通信教育を選択するかしないかの大きな判断基準になるでしょう。
毎日のことなので。
サーバーメンテナンス時間帯に学習アプリを使うための裏技
なお、裏技になりますが、中学受験コースだとメンテナンス時間前にアプリで単元学習を開始しておけば、メンテナンスの時間になってもそのまま映像授業が見れることに気がつきました。なので、子供は必要ならそうしています。
Z会以外の小学生向けの通信教育を海外受講するとしたら、どんなのがあるのか?
Z会の小学生向けのタブレット教材は本当に良く出来ています。メンテナンス時間さえ問題にならなければ、海外でもまったく日本と同じように勉強できますが、もし、Z会以外の小学生向けの通信教育を海外受講するとしたら以下が候補となります。
四谷大塚NET海外会員
四谷大塚のカリキュラムが海外の自宅でもネットで受講できます。
中学受験向けの歴史のある「予習シリーズ」を教材に、予習ナビ・週テスト・復習ナビなどを活用して学習します。
以前、お試し期間中に小学校4〜6年生を対象とした「予習ナビ」を体験したことがありますが、こちらはテキストの解説授業の視聴が中心で、自宅で塾の授業を受けているような感じでした。
予習ナビでは映像授業が中心で動画を1.5倍速で再生することもできますが、それでも授業時間が長く感じました。
その点、Z会の中学受験コースは映像授業が問題毎に小分けになっており、また解説テキストもあるので読んでわからないときだけ動画をみればよいなど、四谷大塚の通信教育よりも効率的に家庭学習できると思いました。
また、予習ナビはiPadで受講できましたが、四谷大塚NETでの成績管理などの推奨環境はWindowsパソコンのみ、動作環境を保証しているブラウザーはInternet Exploereだけと、マックを使っている我が家では利用環境に不安もあり最終的に受講はしませんでした。
ただ、四谷大塚NET海外会員は、予習ナビの他に日本の四谷大塚の校舎で毎週実施する週テストで立ち位置を確認できたり、復習ナビで復習ができる組み合わせもあるなど、海外であっても日本と同じような中学受験対策環境が自宅に作れる点はとても魅力的です。
海外での塾なし家庭学習で本格的に難関国私立の中学受験をめざすなら、Z会の中学受験コースか四谷大塚の通信教育の2択になると思います。
なお、小学校1〜3年生向けには「リトルくらぶ」のコースがあります。
スタディサプリ
こちらも随時14日間の無料体験ができるので試してみました。
なんと言ってもプロ講師のコンパクトな映像授業が秀逸です。テキストもよくできており、演習もあります。また、タブレットのアプリの使い勝手もよかったです。
小学4年生以上が対象になりますが高校までの授業が見放題となります。しかも、Z会と違ってメンテナンス時間もなく、見たい単元を見たいときに見れます。さらに、月額980円だけで利用できるのでかなりお得!
ただ、自由度が高い分、メインの教材として使うには勉強方法や問題演習の素材選び、スケジュール管理などに工夫と労力が必要と思いました。なお、中学以上では個別指導コースのオプションもあり、担当コーチによる個別指導など手厚いサービスもあります。
なので、日本と違うインターナショナルスクールのカリキュラムで勉強している我が家の場合、特に算数と理科で先取りや復習が日本語でできるのが良さそうでした。中学にすすんだら、Z会とスタディサプリを併用することも考えています。
まなびwith
小学館のドラゼミがまなびwithとして生まれ変わりました。小学生向けの教材では、教育の変化に対応できる「かんがえる力」「ひらめく力」「つたえる力」3つの力を身につけるための仕組みが、教科ごとに設計されているそうです。映像授業や答案添削もあり、教材は紙ベースが中心で海外発送もしてくれますが、ダウンロードできるコースもあり使い勝手は良さそうです。
進研ゼミ
小学生向け講座としてチャレンジ1~6年生や考える力・プラス中学受験講座などが海外受講可能です。教材の受取や添削課題のやりとりは郵便がメインのようですが、コースによってはネット返却もあるようです。日本国内と海外での受講の違いなど、くわしくは公式サイトをご覧下さい。
まとめ
Z会の教材はすごく良く出来ていて思い入れもあるのでついつい長い記事になってしまいました。
しかし、特に欧米在住の海外受講者にはメンテナンス時間の問題だけは本当になんとかして欲しいです。
皆様もZ会の海外受講をするなら、必ず日本との時差を考えて、日本時間午前2時〜午前5時の時間帯の利用に支障がないかどうかをよく考えてみてからの受講をおすすめします!