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国境なき主夫

中学受験の算数

【中学受験】低学年の親必見!入試結果を分析してわかった志望校合格のための算数の取り組み方とは?

中学受験の入試科目のなかでも算数は合否を分ける重要科目であるとよく言われますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

今回は、特に中学受験を意識している小学校低学年の子供を持つ親の方向けに、中学受験の算数について2019年に行われた首都圏と近畿圏の実際の入試結果を分析した結果、志望校合格に向けた算数の取り組み方が見えてきたのでシェアいたします。

 

入試での配点からわかる、中学受験における重要科目とは?

まず、2019年に行われた東京・神奈川の男子御三家(開成・麻布・武蔵、聖光・栄光・浅野)、首都圏の女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)と早慶の附属校、そして関西最難関の灘中学の入試科目とその配点を整理したのが下記のグラフになります。

中学受験入試科目別の配点(2019年実施)

入試科目とその配点の比較

グラフからもお分かりいただけるように、3分の2以上の学校で算数と国語の配点がそれぞれ試験全体の配点の3割以上、両科目だけで6割以上を占めていました。

灘中学のように算数と国語が500点満点中それぞれ200点満点とこの2科目で全体の配点の80%を占めるなど、中学受験では算数と国語に重きを置く学校が多いことがわかりました。

一方、首都圏男子御三家の一つ開成中学では、算数と国語の2科目で全体の配点の約55%、同じく女子御三家の女子学院や慶應普通部では50%と全科目のバランスを取っている中学も全体の3分の1ほどありました。

つまり、中学受験では算数と国語の配点割合が高い算国重視型と、全科目バランスよく配点されているバランス型の2つのタイプに大きく分かれていることがわかります。

今回はいわゆる難関中学をメインに調べてみましたが、一般的にどんな学校でも中学受験では大きく分けて算国重視型バランス型の2つに分かれ、全体として算数と国語が重要視されていることがわかります。

 

中学受験で合否を分ける試験科目とは?

つづいて実際の入試で合格者と受験者の合否を分ける科目とはどれなのか、男子の東西最難関校2校について合格者と受験者の各科目の平均点の得点差を調べてみました。

まず、東京男子御三家の一つ開成中学の過去6年の入試における各科目の合格者と受験者の平均得点の差を整理したものが下のグラフになります。(開成中学校ホームページ 入試状況・結果より)

合格者と受験者の科目別平均得点差(開成中学)

合格者と受験者の科目別平均得点差の内訳(開成中学)

各科目の合格者と受験者の平均点の得点差を比べると「バランス型」入試の開成中学では過去6年間でいずれも平均得点差に占める算数の割合が4割〜5割と4科目中トップとなっていました。

つぎに、関西男子最難関の灘中学の過去6年の入試における各科目の合格者と受験者の平均得点差を整理したものが下のグラフになります。(灘中学校ホームーページ 入試資料より)

合格者と受験者の科目別平均得点差(灘中学)

合格者と受験者の科目別平均得点差の内訳(灘中学)

「算国重視型」入試の灘中学では、同じく過去6年いずれも合格者と受験者の平均得点差に占める算数の割合が5割以上と開成よりもさらに高く、年によっては6割以上にもなっていました。

開成と灘の試験結果から、いずれも平均得点差に占める算数の割合が高くなっており、それはもう一つの重要科目である国語にくらべても2〜3倍の差があることがわかりました!

今回は男子最難関校を例に挙げてみましたが、ざっと調べてみたところこの傾向は学校の難易度(偏差値)には関係なく、しかも女子校や共学でも同じように算数でもっとも差がつきやすいという傾向になっていました。

このように、実際の入試では算数で合格者と受験者の得点差が最も大きくなり国語や理科・社会より差がつきやすいことがわかりました。

中学受験は算数で決まる!とはよく聞きますが、中学受験では算数がいかに重要な科目であるかということがお分かりいただけたと思います。

最近は算数だけの入試を行う中学もあり、算数が得意だったり算数だけできる子にとって合格の可能性を拡げる一つの選択肢にもなります。

また、算数を苦手をする女子も多いですが、首都圏では渋幕・渋渋・広尾学園、関西では洛南高附属・須磨学園・清風南海など男女別の定員が設けられていない共学校もあり、女子であってもそのような共学校を受けるのであれば算数の得意な男子と競わなければなりません

他の教科も大事ですが、まずは算数苦手を克服しておくことが中学受験で成功するための近道ですね!

 

算数で志望校の合格ラインをクリアするために必要な対策とは?

上記の調査結果で配点にせよ合否の得点差にせよ算数が中学受験で一つの大きなポイントになることはお分かりいただけたと思います。

それでは実際の入試でいったい算数はどれだけ点を取れば合格ラインに達することができるのでしょうか?

志望校の入試偏差値が高ければ高いほど高得点しなければいけないのでしょうか?

また、入試偏差値が低いのなら算数もそれほど高得点を目指さなくても合格できるのでしょうか?

今度は実際に行われた入試結果から、算数の合格者平均点と受験者平均点の関係を入試偏差値毎に整理してみました。

具体的には、2019年に行われた首都圏東京神奈川の入試の解禁日からのピークの2月1〜3日と近畿の統一入試日の1月19〜21日において、午前入試を実施した学校について算数での合格者平均得点率と受験者平均得点率の入試偏差値との関係を男女別にそれぞれ調査し、整理したものが男女別の以下の2つのグラフになります。

(注)2019年3月29日時点で日能研2019結果R4の偏差値表に記載されており、かつ入試の結果が公表されている学校(とその各コース)について調べてみました。同一日試験日時に偏差値の違う各コースで同一内容の試験問題を課している学校については、偏差値の違う各コースをひとまとめとして合格者の平均点を公表している場合などは各コースの偏差値と合格者平均点が正確に一致しないため除いてあります。また、学校が同一試験日時に偏差値の違うコースで同一の内容の試験をしている場合は、合格者平均点が受験者平均点を下回っているコースがある場合はそのコースについては除外しています。(上位コースが受験者平均点を引き上げている場合)

 

中学受験算数の平均得点率(2019年男子)

中学入試の算数の平均点の分布(男子・共学校)

 

中学受験算数の平均得点率(2019年女子)

中学入試の算数の平均点の分布(女子・共学校)

 

男女共学校2つのグラフをみると、バラツキこそありますが全体的には男女とも合格者平均得点率と偏差値との相関はあまりみられません。

同じような偏差値帯でも学校により問題の難易度が違うので平均得点率が高い学校もあれば低い学校がありますが、全体としては男女共学校いずれも合格者平均は概ね70%程度、受験者平均得点率は概ね55%程度となります。

偏差値が高い学校だからといって必ずしも算数の合格者平均得点率が高いわけではなく、また入試偏差値の低い学校だからといって低くなるわけではありませんでした。

当然といえば当然ですが、入試問題は合格者を選抜するために行われます。

受験者全員が満点とか0点になるようなテストではなく、差が生まれるように問題が作られています。

どんな学校でも受験者層の学力レベルを著しく超える難しい問題を出してしまっては皆が得点できず差がつかなくなってしまいます。

また、受験者層の学力レベルよりも著しく易しい問題を出してしまっても皆が満点でこれまた差がつかなくなってしまいます。

出題される問題は長年かけて「自然」にその中学の受験者層のレベルに見合うようなものになっています。

受験生の学力に見合った難易度の出題がなされるのです!

 

入試問題は学校からのメッセージ!どんな子供に入学して欲しいかを問題に反映している!

算数の合格者平均を調べてみて、灘中学や早稲田中学のようにこれでもかというような難しい問題を出してきて合格者でさえ毎年5割程度しかない学校もいくつかあり驚きました。

しかし、学校側は入試で学力を測ることはもちろん、どんな子供に入って欲しいか?という意図も出題する問題に反映させています。

入試の算数では、問題の難易度だけではなく、同時に学校の求める理想のであるかどうか入試問題を通して試しています。

ここで神奈川御三家の一つ、聖光学院ではホームページ上で入試の出題のポイントを公開しているので紹介します。

聖光学院では入試での算数についての出題の意図として以下のように示しています。

「好奇心旺盛で、粘り強い子」

  • 入試のねらい

何事にも好奇心旺盛で、まずは自ら積極的に手を動かし、情報を整理しながら「ああでもない、こうでもない」と粘り強く丁寧に考え、そして分からなければ疑問点をそのままにしないで、友人や先生に質問したり議論したりして納得するコミュニケーションの習慣が大切です。
粘り強く頑張ることができる小学生が「勉強してよかった」と思うような入試にしたいと考えています。

  • 問題の出题傾向と対策

本校では、受験生の能力と努力の成果がはっきり表れるような問題の作成を心がけています。本校の算数の入試問題が極端に難しくなく、また易しすぎる問題をあまり出題しないのもそのためです。入試問題をご覧になっていただければ、逆に本校の受験生のレベルもわかると思います。

参考:過年度入試出題のポイント(聖光学院中学校ホームページ)より抜粋して引用

この例からも中学入試問題では学力を測ることはもちろん、学校毎に求める理想の生徒像が反映されていることがお分かりいただけると思います。

聖光学院を例に出しましたが、学校がどんな子供を求めているか?という出題意図は志望校の過去問を分析すればその出題傾向でわかるでしょう。

よく言われる、志望校の過去問対策が重要だという意味はそこにあります。

 

入試結果を分析してわかった志望校合格のための算数の取り組み方とは?

中学受験における算数について今回実際の入試結果を分析し、他の科目との比較や合格者・受験者平均得点率と入試偏差値の関係を調べてみてわかったことは、

  • 算数は他教科にくらべ配点が高い
  • 合否を左右する得点差は算数が一番大きい
  • 算数で志望校の合格レベルに達するには、偏差値の高い学校だからといって入試で満点取る必要はないが、偏差値の低い学校だからといって低得点では合格できない

ということです。

受験勉強をはじめてみると、塾であれ、家庭学習であれ、特に算数では、

  • 演習量は十分なのだろうか?
  • 算数はどの時点でどこまで仕上げておけばよいのか?
  • どれだけの成績(偏差値、立ち位置)でどれだけの中学に合格できるのか?
  • 塾や通信教育のカリキュラムを信じてすすめて最後はどこまでいけるのか?

など迷いが生じます。

そして、焦って無理な先取りをさせてみたり、難しい問題集を買い与えたりと子供のペースを乱してしまうことはよくあります。

そんなときこそ、今回の調査結果からわかるように、

  • まずは焦らずに基礎力の定着を図りながら標準から応用問題へとステップアップして持ち偏差値を志望校合格ラインまで引き上げる
  • 最後は徹底した志望校の過去問対策で仕上げる

という正攻法で受験算数と向き合うこと大事だということが言えるでしょう。

最後にボクがこれまで読んだ中学受験の算数の勉強方法の本の中から、いまでも算数の勉強で迷いが生じた時に読み返している本を厳選して3冊紹介します。

いずれも中学受験の算数のプロ家庭教師による本ですが、あらかじめ読んでおくと算数の受験勉強中の悩みも減り、勘違いから貴重な時間を浪費することもなくなることでしょう!

まず中学受験 算数の成績が上がらない理由(安浪京子 著)ですが、タイトルから算数が苦手な人向けの本かと思いきや、数学と算数と受験算数の違いなど中学受験の算数とはどんなものかがとても丁寧に書かれてあり、特殊な受験算数の取り組み方がよくわかります。

これから中学受験勉強をはじめようとしている親の方は一度読んでおくと、特に中学受験経験のない親の方が犯すであろう過ちがよくわかり、間違った勉強方法を避けることができます。

 

つぎに中学受験 大逆転の志望校選び(安浪京子 著)では志望校の過去問対策の進め方が詳細に書かれており、過去問対策はまだ先であっても、受験勉強終盤の追い込み方・仕上げ方が明確にイメージできます。

受験勉強をはじめてみると途中で勉強方法や教材などいろいろ迷いが生じることは多々あります。この本を読んでおくと目指すべきゴール前の状況がよくわかるので、そこから逆算していま何をするべきか?という視点から状況を捉えられるようになり、焦っていろいろ手を出してペースを崩すことも少なくなります。

 

最後に中学受験を成功させる 算数の戦略的学習法(熊野孝哉 著)は受験算数の勉強方法や市販の教材の選び方・使い方が詳細に書かれています。

上記2冊を読んだうえで、我が家では我が子にあった勉強方法や教材選びの際に必要に応じて参考にしながら効率的な学習に役立てられています。

 

今回の記事は以上となります。

この記事で中学受験の算数の進め方について参考になれば幸いです!!

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