帰国後に帰国子女として日本の学校に入学するためには入学資格を備えておかなければなりませんが、小学校・中学校・高校・大学のそれぞれの段階で異なります。
帰任後の学校選びは、入学資格を満たさないと年齢相応の学年に入学(編入)できなかったり、場合によっては受験すらできなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
今回は、日本人(日本国籍保有者)である帰国子女が日本の小学校や中学校へ入学する場合に入学資格や卒業資格がどうなるか、また、インターナショナルスクールの小学部や中学部に入学する場合の就学義務違反など注意しなければいけないことを整理しましたのでシェアします。
海外赴任が決まって子供の学校を探していたり、帰任が近づいている駐在員家庭の保護者など、子供の将来の進路を考える際の参考になれば幸いです。
帰国子女として小学校へ入学(編入)するために必要な入学資格や注意点などについて
帰国子女の小学校への入学資格
帰国子女は小学校に随時入学ができ相当学年に編入できます。
義務教育なので6歳になれば当然に小学校に入れます。
また、親には子供を小学校に通わせなければいけない就学の義務があるので、学校に入れないと就学義務違反になってしまいます。
小学校就学年齢の子供を持つ保護者は、帰国後に住所を決めた(住民票をいれた)時点で子供を小学校に入学させなければなりません。
日本でインターナショナルスクールの小学部に入学する場合の注意点 ~小学校卒業資格が取得できない!~
海外でインターナショナルスクールや現地校に通っていたならば、英語力の保持のためなど帰国後も一般の小学校よりもインターに通わせたいと考えることもあるでしょう。
国際化や英語教育の必要性などから、たとえ帰国子女でない子供でも一般の小学校には通わずにインターナショナルスクールの小学部に入学するケースが増えています。
ただし、日本国内のインターの多くは一条校(学校教育法第1条に掲げられている教育施設)ではなく外国人学校等として扱われていますので、保護者が教育委員会と話をつけないかぎり、そのような国内のほとんどのインターに入学させても就学義務違反となります。
また、一条校ではないインターの小学部を卒業しても小学校の過程を修了したものと認められず、中学校への入学資格が得られません。(※ 少なくとも公立の中学校に入学することはできませんが、私立中学では受け入れているところもあるようなので個別に調べる必要があります)
なので、帰国後に住民票をいれてから通常の小学校に入学せずいったんインターにいれる場合はその点に留意することが必要です。
実際に国内のインターの小学部に子供を通わせている保護者はどうしているのかと聞いたり調べてみると、教育委員会や小学校に相談して小学校に籍をおかせてもらい長期休学扱い等としてもらいながらインターに通学させている(ダブルスクール)場合が多いようでした。
なお、自治体によっても取り扱いが異なるようなので、帰国後にインターの小学部に通わせたい場合は事前に住所地の教育委員会や小学校に相談する必要があります。
帰国子女として中学校へ入学(編入)するために必要な入学資格や注意点と中学受験について
帰国子女の中学校への入学資格
帰国子女は中学校に随時入学ができ相当学年に編入できます。
中学校も義務教育なので子供が中学校就学年齢であれば当然に中学校に入学しなければなりませんし、親には就学させる義務があるので中学校に入れないと就学義務違反になってしまいます。
中学校就学年齢の子供を持つ保護者は、帰国後に住所を決めた(住民票をいれた)時点で子供を中学校に入学させなければなりません。
ポイントは帰国子女が帰国後に直接中学校に入学(編入)するのであれば、たとえ日本の小学校課程を修了していなくとも相当学年にいつでも入学(編入)できるというところです。
この点が国内のインターの小学部から一般の中学校に進学できないこととは違います。
日本国内のインターナショナルスクールの中学部に入学する場合の注意点 ~中学卒業資格が取得できない!~
小学校のところで述べたように、日本国内のインターの多くは一条校(学校教育法第1条に掲げられている教育施設)ではなく外国人学校等として扱われています。
よって保護者が教育委員会に願い出して教育委員会より就学義務を猶予又は免除されたりやむを得ない事情があると認定されないかぎり、ほとんどの国内のインターの中学部に入学させても就学義務違反となってしまいます。
実際にそのようなインターの中学部に子供を通わせている方は、前述したように教育委員会や中学校に相談して中学校に籍をおかせてもらい長期休学等の扱いとしてもらうなどしながらインターに通学させているようです。
そして、一条校ではないインターの中学部に通わせる一番の問題は、卒業しても中学校を修了したとは認められず中卒認定試験(中学校卒業程度認定試験)に合格しなければ高校の入学資格(受験資格)は得られないということです。
しかも、基本的に文部科学大臣(教育委員会)から「やむを得ない事情があった」と認められない限り、高校の入学資格を得るための中卒認定試験を受験することさえも中学3年生相当の年齢(満15歳となる年度)ではできず、基本的に学年を下げて(満16歳以上となる年度)しか受験できないようです。
いずれにしても、帰国後に直接インターの中学部にいれる場合は高校入学資格の取得に困難がある点に留意が必要です。
帰国子女が中学受験して中学をめざす場合
帰国子女は一般の公立中学なら受験せずとも入学できます。
それでも国公私立の中学や中高一貫校、大学の附属校を受験したい場合は、帰国生入試の出願資格の条件により帰国子女枠で受験するか一般受験するかもしくは両方で受験するか選べます。
帰国子女枠での出願資格としておもに国外の滞在時期や滞在期間の条件が学校毎に定められており、その条件を満たせば帰国子女枠での受験が可能です。
昔は帰国子女枠を利用した方が有利(帰国子女ってずるい!)な状況だったようですが、昨今では帰国子女も増加しており、特に首都圏の難関校では一般受験レベルでも合格できる学力がなければ、ずば抜けて得意なことがないかぎり帰国子女枠でも合格することは厳しいようです。
帰国子女にとって特に中学受験するメリットは、
- 英語の取り出し授業がある
- 海外から直接受験し、合格したら休学し、帰任にあわせて復学できる
- 同じような境遇で育った帰国子女が多い学校もあり、カルチャーギャップを共有できる友達ができる
など学校によって違いはありますが、帰国子女向けの教育環境が整っている学校があることでしょう。
目指す学校や帰国時期・海外ではどんな学校に通っているか・近くに塾があるのかもしくは親が勉強をみるのかなど、ご家庭の環境によって中学受験の対策の内容は変わりますが、帰国子女として中学受験するとなったら子供はもちろん親も相当覚悟しないといけないです。
また、中学受験して入るような学校では学年途中からの編入を受け入れている場合もありますので調べてみると選択肢が拡がります。
まとめ
いかがでしたか?
小学校と中学校は義務教育なので、帰国子女は帰国後に住民票を入れた段階で年齢相当の小学校や中学校に入学(編入)させれば問題はありません。
帰国後直接国内のインターに入れる場合だけは、就学義務違反対策や小学校・中学校の修了資格の取得について留意しなければいけません。
次回は帰国子女が日本の高校へ入学する場合に必要な入学資格や注意点などについて紹介します。
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