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国籍の留保とは?海外で出産するときに出生届の手続きを誤ると産まれた子供は日本国籍がとれないことも!

日本人の子供が海外で産まれる場合、その子の国籍ってどうなるのでしょうか?
日本で出産する場合はそんなことは全く考えないと思いますが、外国で産んだ子供が当然に日本の国籍が取得できるかというとそうでない場合があります。

今回は海外で出産し出生届を提出する際に注意しなければいけない「日本国籍の留保」について実際に体験から学んだことを共有します。
出生届の内容を誤ると、場合によっては日本国籍が取れないなんてことになりますのでご注意を!

そもそも海外で産まれた日本人の子は日本国籍を取得できるの?

日本の法律では、日本国民(日本国籍保有者)の子供が日本で産まれればその子は日本国籍を取得できます。(国籍法第2条)

それと同様に、外国で産まれた日本人の子も産まれるのと同時に日本国籍を取得します。(国籍法第2条)

海外で産まれた子供が日本国籍を取得するためには?

出生届の手続き期限の違いは日本での出産なら生まれてから14日以内、海外での出産なら3ヶ月以内です。

日本で出産する場合は出産後14日以内に適正な内容の出生届を提出しなければ産まれた子の戸籍が作成されません。(国籍法第49条)
戸籍が作成されるということは、つまり日本の国籍を取得するということになります。

海外で産まれた日本人の子の場合は出産後3ヶ月以内に出生の届けをしないと戸籍が作成されず、日本国籍を取得できない(失う)ということになります。 (国籍法第49条)

さらに海外での出産の場合は出生届の手続きをする際に注意しておかないと日本国籍を喪失することがあるんです!

外国で産まれた日本人の子が日本国籍を喪失する場合とは?

前述の通り、外国で産まれた日本人の子供は産まれた日から3ヶ月以内に出生届を提出すれば日本国籍を取得できます。

ただし、外国で産まれた子供が出生と同時に外国の国籍も取得していて、しかも出生の日から3か月以内に出生届とともに日本国籍を留保する意思表示をしなかった場合には日本国籍を喪失することがあります。(国籍法第12条,戸籍法第104条)

「出生と同時に外国の国籍も取得する」とは?

子供が産まれた国が出生地主義の方式をとっている場合、産まれると同時にその子はその国の国籍も取得することになります。
出生地主義とはその国で産まれた子供にはその国の国籍が付与されるという方式のこと。
出生地主義にも程度があり、例えばアメリカやカナダなどはそこで産まれれば無条件にその国の国籍を取得できます。

よく有名人が子供にアメリカ国籍を取らせたいがために、わざわざハワイまで行って出産したというニュースがありますよね。
そういう制度です。

「日本国籍を留保する」とは?

日本の法律では日本以外の国との二重国籍などの重国籍が認められていません。
そのため、出生地主義の国で産まれた日本人の子供で外国の国籍も取得している場合は将来いずれかの国籍を選択しなければなりません。
そして、日本国籍を選ぶのであれば残りの国籍から離脱しなければなりません。

「日本国籍を留保する」とは、産まれた時に日本国籍の他に他国の国籍も取得する場合に、日本国籍を選択できる期限である22歳までの間とりあえず日本国籍をキープしておく、ということです。
「留保」とは「保留」と似ていますが法律用語で意思表示や権利行使を期限まで先延ばしにすることです。
そして、出生地主義の国で産まれた子が日本国籍を留保するためにはその意思表示をしておく必要があります。

日本国籍を留保する意思表示の方法

国籍留保の意思表示の方法は、出生届の提出の際に日本国籍を留保する旨を出生届にあわせて記載することです。

具体的には海外公館に備えつけの出生届にはあらかじめ「国籍を留保する」という欄が備わっているので、届出人がそこに署名捺印するだけです。

日本国内で用意してきた出生届の様式を使う場合は、「その他」の欄に「日本国籍を留保する」と記載してその横に署名捺印します。

 >> 海外出産での出生届の書き方と具体的な記載例

ちなみにうちの場合、妻はタイのバンコクで出産しましたが、ボクは出産前に日本の戸籍のある自治体の戸籍係と在タイ日本領事館に出生届の書き方や国籍留保の必要性について相談しました。
日本の戸籍のある自治体の戸籍係では、国籍留保をするべきなのかどうかについては判断できないようでした。
在タイ日本領事館からは、当時のタイの国籍法は出生地主義ではなく、血統主義(父母のいずれかがタイ国籍者である場合に、子はタイ国籍を生来的に取得するという「父母両系血統主義」を基本的立場)なので、日本人夫婦のお子さんはタイ国籍を取得しないので国籍を留保する旨の意思表示の記載は不要です、との返答をもらいました。(今はどうか知りません。ご確認を!)
なので最終的に国籍を留保する意思表示は不要と判断し、出生届を提出した時は国籍を留保する旨の意思表示はしておりません。

さらにその時は出産後に出来るだけ早くタイを出国する必要があったので、パスポートを迅速に取得するために、出生届は日本の親戚に郵送し本籍地の役所に提出してもらいました。

 >> 海外出産で子供のパスポートを最速で取得する方法と出生届の手続き

日本国籍を留保するメリット

22歳になるまで日本とその他の国の国籍を保有しておくメリットとしては、それぞれの国で社会保障を受けられたりビザ無しで学校を選べたりすることでしょうか。
あとはその国へ親や保護者が子供と一緒に長期間滞在する場合などはビザがとりやすいかもしれません。
将来のことはわからないので、本人が22歳になるまでに住みたい(国籍を取りたい)国を選べることは、より選択肢があっていいのかもしれません。

もし日本国籍を取得できなかったら?!

出生届を出さなかったり3ヶ月の期限内に提出することができず日本国籍を喪失してしまった場合には、未成年の場合に限り「国籍の再取得」という制度もあるようです。(国籍法第17条第1項)

二十歳を過ぎてしまえば「帰化」することになりますが、だんだん日本国籍取得のハードルが上がっていくことでしょう。(国籍法第4条、5条、10条)

まとめ

産まれた子供の日本国籍を留保せずに、出生国の国籍だけになってしまい、その国で兵役義務の法律があったりできたりすれば、将来その国で徴兵されるなんてこともあるかもしれません。

出生の届出は産まれてくる子供の将来の権利を確保する第一歩です。
慣れない海外でのお産も不安ですが、産まれてくる子供のことも考えて事前によく情報収集し準備しておくとスムーズに手続きできます。

参考 法務省 国籍Q&A

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